グローバル教育展開オフィスでは、ドルトムント工科大学教育・心理学部と京都大学大学院教育学研究科・教育学部の国際交流事業を支援しています。

2023年度の交流詳細について、担当教員の広瀬悠三准教授によるご報告と、ワークショップの様子をご覧ください。

国際交流活動

第5回 ドルトムント工科大学教育・心理学部―京都大学大学院教育学研究科・教育学部・研究ワークショップ

The 5th research workshop between the Faculty of Educational Sciences and Psychology, TU Dortmund University, and the Graduate School and Faculty of Education, Kyoto University

  • 主催団体 Organization:京都大学教育学研究科・教育学部
  • 担当教員:広瀬悠三先生(教育・人間科学講座 准教授)
  • 実施場所・方法 Place and method of implementation:京都大学時計台記念館会議室Ⅲ・Ⅳ 対面でのワークショップ(一部オンライン)
  • 実施日 Date of implementation:2024年3月25日(月)~2024年3月26日(火)
  • 参加者数 Number of Participants:計36名
  • 概要はこちら

主な活動内容

 本ワークショップは、「危機の時代における世界市民的教育と地球市民教育」というテーマに沿って、ドルトムント工科大学の8名の研究者がそれぞれ40分の講演を行い、その後小グループに分かれてディスカッションをし(25分)、さらに全体で質疑応答のもと考察を深めました(25分)。本研究科の院生6名が、司会・モデレーターを務めました。講演の内容は、ドイツの教育人間学の観点から身体を伴った特殊なミメーシスの行為である旅の経験がもつ世界市民的可能性、広島での被爆者の証言をもとに絵を描くことで培われる世界市民的意識に関する実証研究、異種間の関係を考慮に入れた地球市民性の涵養の考察、などでした。いずれの発表も、世界市民的教育・地球市民教育を、普遍的な価値の共有やグローバル人材の育成といったステレオタイプの教育を超えた、人間の繊細かつ豊かな形成を重視して、危機に直面する人類の行く先を照らす灯火となりうる世界市民的教育を提起したものでした。小・全体ディスカッションにおいては、その構想の肯定的価値や実現可能性の検討など、活発な議論がなされました。
 参加者は本研究科構成員、ドルトムント工科大学の研究者の他に、本学他研究科の教員・院生、また学外の関心をもつ研究者であり、小グループで活発な議論が行われ、休憩時間や昼食時間にも盛んな研究交流が行われました。とりわけ、日本とは異なった状況と場所において世界市民的教育・地球市民教育を吟味するドルトムント工科大学の研究者の主張と議論は、私たちの考察を揺さぶるものであり、まさに無意識のうちに閉ざされ、完結しがちな私たちの思考を根底から世界へと開くという意味で世界市民的なものでした。また本ワークショップは、様々な重要な問いやテーマが持ち上がり、ワークショップの後にも考え続けることが求められるような、豊かな学びと考察の場となりました。

(広瀬悠三)