グローバル教育展開オフィスでは、2023年度から「アジア型大学探求プロジェクト」を始めました。
その研究会が、香港大学のComparative Education Research Centerと京都大学大学院教育学研究科の高等教育学コースの主催で行われました。その詳細については、佐藤万知准教授によるご報告と、京都大学側参加者の大学院学生6名の感想をご覧ください。
佐藤万知 准教授
今年度からの香港大学との新しい交流事業として『アジア型探求プロジェクト』を立ち上げ,2回の研究会を開催しました。このプロジェクトは,中国や日本の思想や哲学を基盤として,知や個人や社会を捉え直した時に,大学とはどういった場所でありうるのか,それは欧米の思想や哲学を基盤とする大学とは異なる姿なのか,といった点について模索することを目的に企画されました。
第1回目は12月22日に吉田泉殿に集まり研究交流しました。香港大学からジェレミー・ラプリー先生,リリー・ヤング先生が参加をし,この探求プロジェクトの問いの共有と,参加者のそれぞれの研究関心について知る機会となりました。
第2回目は3月4日,5日に香港大学にて学術交流会「An Asian University? Intra-Asia Dialogue, Comparative Praxis」を開催しました。学術交流会には,香港大学からComparative Education Research Center の教員と大学院生,京都大学から高等教育学,臨床教育学,教育方法学・発達科学,教育文化学,教育哲学・教育史学,比較教育政策学コースに所属をする大学院生が参加をし,指定論文の議論,研究発表,全体議論を行いました。発表等の詳細はプログラムをご覧ください。東洋の哲学的思想や概念の理解を通じた中国・日本における知の生成のあり方を考察するもの,慣習的に,あるいは古来から続いている教育方法の検証から今日的教育方法の見直しを試みるもの,西欧より持ち込まれた概念がローカライズされていく実態を捉えようとするものなど,様々な内容の研究が紹介されました。扱っているテーマや手法,理論は異なりましたが,これまでとは異なるレンズで考えてみたい,という部分は共通しており,昼食中や休憩時間,プログラム終了後も話がつきることなく,コースを,そして大学を超えたダイアローグが始まったと言えます。今後はこのダイアローグが途絶えないように,オンラインでの交流や学内での研究会を継続していきたいと考えています。